最近話題となっているニュースといえば、「東京ミネルヴァ法律事務所の破産」でしょうね。
弁護士界隈でもかなり話題となりました。
私自身も、東京ミネルヴァが破産したと聞いた時は
弁護士ビーノ
と思ったくらいでした。
要するに広告費がエグいぐらいあったのかもしれないですね。
でも弁護士個人は破産しているのかなぁ。よくわからん。— 弁護士ビーノ⚖動画クリエイター×AI研究 (@bino_bengoshi) June 24, 2020
Twitterでもこのようなツイートをしました。
そこで今回は、どうしてミネルヴァが破産せざるを得なかったのか、これを簡単かつわかりやすく説明しながら、弁護士ビーノなりの解釈を加えてお伝えしたいと思います。
ぜひ最後までお茶をすすりながらご覧ください。
- 品川区で弁護士をしています。
- 弁護士7年目
- 法律相談は,電話・対面を含めてほぼ毎日行ってきました。
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目次
1 東京ミネルヴァ法律事務所が破産した原因
今回破産に至った原因はこのような流れでした。
- 広告費の増大で業務との釣り合いが取れず不採算状態に
- 広告費が払えない+弁護士会会費が未払いに
- 第一東京弁護士会が債権者破産申し立て
ニュース記事によれば、51億円近い負債を負っていたと報じられています。
これが直接の原因になるのですが・・・
質問者さん
弁護士ビーノ
どういうことでしょうか。
2 超大手債務整理系事務所の仕組み
では、たくさん広告費をかけてテレビCMなどを打っている弁護士事務所が、どのような仕組みでおおよそ回っているのかお話をします。
ここからはある程度私が実際に聞いた話を元にしてお話をします。
(1)たくさん案件を獲得するために
まず、債務整理をする案件がないと売上が立ちません。
そこで第一に多額の広告費かける必要があります。
テレビであれば一本数十万円、そしてネット広告で1問い合わせあたり1万円程度のコストがかかります。
ニュース記事によると依頼者が常時1万人〜2万人いるとのことでしたので・・・
これだけでも1万円✖️1万人=1億円のコストが発生しています(正確な計算ではありませんがおおよそは見えます)。
これを見れば、あながち51億円近い負債も嘘ではないということがわかりますね。
(2)たくさんの案件を処理するために
債務整理の案件をテレビCMやネットで獲得したとして、それを処理する「人」が必要になります。
大手の債務整理系弁護士事務所ですと、そのほとんどの仕事を弁護士ではない多数の事務員がベルトコンベアー式の業務で回しています。
仮に一人が50件の債務整理に対応できるとしても事務員だけで200人は必要です。
社会保険費用も考えて、ひとり頭のコストが1ヶ月30万円かかるとすれば、6000万円の給料が経費としてかかります。
(3)コストからわかること
一般的に広告費は、売上の25%くらいが適切であると考えられているので
東京ミネルヴァ法律事務所は、ざっと1ヶ月数億円の売上を上げていた可能性があります。
そうでないと人件費すら払えないことはここまで読んでくださった方ならお分かりですよね。
質問者さん
弁護士ビーノ
3 暗躍する広告会社
ミネルヴァを支配していた、今回の破産劇の黒幕ともいえる広告会社とは(株)リーガルビジョン〔渋谷区、代表霜田広幸、19年3月期(4カ月間の変則決算)売上高8億8100万円〕である。
兵庫県出身で、消費者金融大手の武富士で札幌支店長までつとめた兒嶋勝氏が04年4月に設立した(株)DSC〔渋谷区〕がリーガルビジョンの前身。
士業の広告解禁を受けて創業した、士業専門の広告代理店だ。
同社は弁護士などへの相談を取り次ぐサイト「法律の窓口」も運営し、過払い金ブームに乗って業績を伸ばした。
今回のニュース記事には広告会社の存在がありました。
「リーガルビジョン」自体は非常に有名で、地方への法律相談会を開くといった特殊な方法で集客をしていた会社だという印象があります。
さらに「士業専門の総合アウトソーサー」を標榜し、関連会社のキャリアエージェンシー(株)〔渋谷区〕が事務員や相談員を派遣し、経理業務も含め事務所の運営は、事実上、リーガルビジョン任せになってしまう。
東京ミネルヴァの場合、「オフィスをはじめ通信回線、サーバー、事務所ロゴの商標権など、なにからなにまでリーガルビジョングループから兒嶋氏の言い値で借りていた」(事務所関係者)
つまり、リーガルビジョン社が、ほぼ東京ミネルヴァ法律事務所で主導的な役割を果たしていた上、債務整理の利益をかなり吸い上げていた可能性が高いと思われます。
それは、資金的には厳しい状況に東京ミネルヴァ法律事務所が陥らせていた可能性があるのです。
4 今後の予測
(1)消えた預り金
東京ミネルヴァ法律事務所は、依頼者から過払金で回収したお金に手をつけて、4億円以上の穴を作っていたようです。
結論から申し上げれば立派な「業務上横領」です。
弁護士が資格(バッジ)だけでなく、刑事的な責任を問われることはほぼ間違いないと思われます。
(2)リーガルビジョンの関与について
リーガルビジョンはどのような処罰や請求を受けるでしょうか。
まずこのままいくと非弁提携に該当する可能性が高く、弁護士法違反にて告発を受けると思われます。
さらに、業務上横領に関わっているかは定かではありませんが、管財人が資産の流出を理由に、否認権を行使し、リーガルビジョンに対して、請求を行う可能性は高いのではないかと考えています。
その意味では、リーガルビジョンが逃げる道はかなり狭まっているという印象です。
5 まとめ
今回のニュース記事は、おそらくですが、恨みを持った弁護士事務所側がリークした情報であると思います。
それだけ、弁護士事務所側がリーガルビジョンに対して不信感を抱いていた可能性があります。
我々弁護士も今後そのような状況に陥らないよう、襟を正して、業務をしたいと思いました。
この件は、今後進捗があるかと思いますので、また別の機会にお話をしたいですね。
それではまた次回の期日でお会いしましょう〜