土地改良区における賦課金の回収業務について【個人的備忘録】

土地改良区 賦課金 滞納処分

弁護士のビーノです。

今回は「土地改良法」の賦課金回収についてお話をします(備忘録)。

土地改良法の書籍はいくつも読んでいるので、土地改良区に関わる方はぜひ参考にしてください。

この回収については、地方税の徴収方法などに関わってくるので、税法上の滞納処分に興味がある方も見られると思います。

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目次

1 賦課金とは?

そもそも土地改良区とはなんでしょうか?

農業水利施設(ダム、水路など)の建設、管理、農地の整備などいわゆる土地改良事業を実施することを目的として土地改良法に基づいて設立される農業者の組織である。

土地改良事業の中核的な実施主体として位置付けられている。

と言われてもわからない方が多いと思うのですが、要するにみんなで「お金」を出し合ってできている組合だと理解すればOKです。

そしてその「お金」こそが「賦課金」なのです。

2 賦課金は誰が回収するの?

賦課金の回収は土地改良法上、「土地改良区」が行うということになっています。

ただし、委任契約を締結することで徴収業務を委任することができます。

3 賦課金の時効

賦課金の時効は「納期限日の翌日から起算して5年間」となります。

この時効は、時効の援用も不要であり、時効利益の放棄もできないと考えられています。

時効を中断(新民法だと更新)させるにはいくつか方法が必要です。

時効更新事由
  1. 請求(督促)→ただし1回のみ(これは昭和44年2月6 日付けの自治省行政課長回答で、「督促による時効中断の効果は、最初の督促に限り 効力を有する」とされたためです。)
  2. 差し押さえ
  3. 債務承認
  4. 催告

この4つの方法+督促が時効を止めることになるので、回収業務を行うときは、この4つの方法を駆使して、時効を止めましょう。

4 滞納処分とは?

(1)基本的な流れ

滞納処分は、強力な処分のため、本来土地改良区単独では不可能なはずなのですが、ある手順を踏むとできるようになります。

この滞納処分は、地方税法上の滞納処分なので、土地改良法には根拠がありません。

しかし、財産の強制的な捜索などができる点で、民事執行法の債権回収とは異なります。

基本的な流れは以下の通りです。

滞納処分の基本的な流れ
  1. 市町村に対する請求
  2. 知事に対する認可
  3. 知事認可を受けた理事による差し押さえ
  4. 換価
  5. 配当

となります。

(2)法的根拠

滞納処分の法的根拠は土地改良法第39条第5項ということになります。

5 市町村が第三項の請求を受けた日から三十日以内にその処分に着手せず、又は九十日以内にこれを終了しない場合には、理事は、地方税の滞納処分の例により、都道府県知事の認可を受けて、その処分をすることができる。

これを受けて、地方税法で滞納処分の具体的な方法が規定されていると理解すれば良いでしょう。

(3)執行者

結論としては、執行機関としての「理事」が行うことになります。

そして、この執行者の権限は、委任ができない性質であると解されており、代理等で第三者が行うことができないのです。

執行者としての理事の名義を代理人や代行者に変えられないという点に注意しましょう。

5 滞納処分の流れ

(1)納付期限後の督促

最初に行う必要があるのは、納付期限後の督促状の送付です。

これについては、土地改良法第39条第1項に記載があります。

(賦課金等の徴収)
第三十九条 土地改良区は、賦課金等若しくはこれに係る延滞金又はその延滞金以外の第三十七条の過怠金を滞納する者がある場合には、督促状により期限を指定してこれを督促しなければならない。
まずは、督促状という書面を送付して、滞納者に対して納付を促す必要があります。
この手続きを行わないと滞納処分の大前提を欠くことになるので、注意しましょう。

(2)文書催告

多くの場合は、督促状の後に、文書にて催告を行います。

ここに弁護士が介入できる余地があります。

注意すべき点としては、滞納している方が死亡していないかという点について疑義がある場合は確認をする必要があります。

戸籍については、弁護士による職務上請求を行うことで十分であると考えています。

(3)滞納処分の請求

そして、督促状でも文書催告でも滞納が解消されない場合、土地改良区としては、滞納処分を行うよう市町村に請求をかけることになります。

3 土地改良区は、前二項の規定による督促又は請求をした場合において、その督促又は請求を受けた者がその督促又は請求で指定する期限までにこれを完納せず、又は履行しないときは、市町村に対し、その徴収(夫役又は現品については、これに代るべき金銭の徴収)を請求することができる。

大抵は市町村が動かない場合が多く、次の滞納処分執行の認可申請に進むことになるようです。

(4)滞納処分執行の認可申請

5 市町村が第三項の請求を受けた日から三十日以内にその処分に着手せず、又は九十日以内にこれを終了しない場合には、理事は、地方税の滞納処分の例により、都道府県知事の認可を受けて、その処分をすることができる。

土地改良法第39条第5項が「理事」が「都道府県知事」に「認可」を受けて、代わりに処分できると規定されています。

つまり、土地改良区の理事から知事に対して、申請行為を行う必要があります。

(5)財産調査

財産調査については、理事が「質問権」「検査権」という権利を有しており、強制的な滞納者の財産に対する調査が可能です。

そして、この財産調査については、滞納処分自体とは別途の行為であるから、弁護士による書面作成および問い合わせが可能であるという理解を(私は)しています。

通常は、金融機関の担当者への問い合わせが必要となるため、金融機関の担当者との密な連携が必要となります。

(6)財産の差し押さえ

この点についての細かい手続きは省略します。

基本的には、調書の作成・差押通知を送付がメインになります。

(7)差押後の対応・換価

差押を行ったあとは、換価といって財産をお金に変える必要があります。

ここで滞納処分が終了となります。

6 別の方法の検討

一つは、滞納額が多い場合は、調査権限を駆使して、債権者破産申し立てを行うという方法も検討に上がるのではないかと考えています。

また、こういった滞納者は、別の差押を受けている場合もあるので、必ず参加差押の情報を取得する必要があります。

さらに、夫役現品の可能性も探るというウルトラCもあるでしょう。

以上が土地改良法に基づく滞納処分の流れ(備忘録)でした。

この記事については、今後充実させる予定でありますので、ぜひ今後も定期観察をしてください。

では今回の期日はこれで以上となります。

また次回の期日でお会いしましょう。

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