ミネルヴァ法律事務所の破産申立を第一東京弁護士会が行ったワケ【債権者申立の謎】

東京ミネルヴァ 破産 闇

先日の記事で、ミネルヴァ法律事務所の闇について語りました。

東京ミネルヴァ 闇ミネルヴァ法律事務所が破産!【その闇と影響はでかい】

今回は続編です。みなさん気になりませんでしたか?

  • どうして弁護士会が破産の申し立てをしたのか?
  • そもそも債権者申し立てって何?

今回は、債権者による破産の申し立てとこれを弁護士会が行った意味について、現役弁護士であるビーノの視点から解説したいと思います。

ぜひ最後までご覧ください。

解説者
  • 品川区で弁護士をしています。
  • 弁護士7年目
  • 債権者による破産申し立ては、3回以上経験しています。
  • もし困った際は,品川区の弁護士ビーノが対応致します👍
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目次

1 債権者の破産申立?

そもそも、破産はみなさんの認識だと、借金を抱えた債務者が行うものだという風に思っていませんか?

実は違います。

破産法第18条第2項は「債権者又は債務者は、破産手続開始の申立てをすることができる。」としており、債権者が申し立てることが出来ることを明確に示しています。

これは、債権者も破産に対して利害関係を有しており、債務者の財産の隠匿を防ぐ趣旨があると思っています。

ただし、債権者が申し立てること自体はかなり特殊な状況であることは間違いありません。

注意
  1. 債権者が予納金を裁判所に収める必要がある
  2. 資産と負債の状況を債権者が裁判所に説明する必要がある
  3. 裁判所での期日が開催される

まず予納金ですが、債権者申し立ての場合だと一般的な予納金の150%を納めるという運用がなされています。

今回ミネルヴァは51億円の負債を抱えていました。

そして、一般的な予納金はこちらになります。

予納金表
  • 負債額5000万円未満 50万0000円
  • 負債額5000万円から1億円未満 80万0000円
  • 負債額1億円から5億円未満 150万0000円
  • 負債額5億円から10億円未満 250万0000円
  • 負債額10億円から50億円未満 400万0000円
  • 負債額50億円から100億円未満 500万0000円
  • 負債額100億円以上 700万0000円

つまり、第一東京弁護士会は、500万円の150%である750万円を裁判所に納めたことになります。

超高額ですね!

2 弁護士会が債権者?

ところで、今回弁護士会が債権者ということでミネルヴァ法律事務所に対して破産の申し立てをしています。

あまり知られていない話ですが、弁護士法人は、弁護士会に対して個人の弁護士会費とは別に、弁護士会費を納めるルールになっています。

参考 弁護士会費東京弁護士会

弁護士法人の場合は、以下の通りの月額会費が必要となっています。

社員数 東弁会費 日弁連会費 日弁連特別会費 月額合計
社員1人 9500円 2480円 560円 12540円
社員2人〜10人 9500円  6200円  1200円  17100円
社員11人以上 18000円 12400円 2800円 33220円

東京ミネルヴァの場合は、月額33220円である可能性が高いので、これをずっと延滞していた可能性があります。

そのため、第一東京弁護士会が債権者となるということなんです。

3 弁護士会が破産を申し立てた意味

さて、今回第一東京弁護士会があえて予納金も積んでまで破産を申し立てたことには何の意味があるんでしょうか?

そもそも、第一東京弁護士会としては、今回のような非弁提携事案に対しては、厳しい態度で臨む必要がありました。

日弁連全体として、非弁行為や非弁提携事案に対しては、弁護士法違反である以上、これを放置するわけにもいきません。

また、弁護士会側は、リーガルビジョンにより多数の事務所との間で非弁提携行為が行われていると疑っており、個別に弁護士事務所に注意するより、大元であるリーガルビジョンを叩いた方が早いという判断もあると思います。

さらに、東京ミネルヴァの弁護士から多くの情報提供が寄せられ、証拠隠滅を防ぐためにも、調査協力と引き換えに債権者破産の申し立てを行うという密約があったのではないかと推測しています。

今回は様々な要因が重なり第一東京弁護士会が破産申し立てを行ったことがわかりますね。

4 今後の東京ミネルヴァ事件の展望について

今後の展望としては、以下の問題点があると思っています。

(1)預り金(過払金)をどう回収するか?

今回破産管財人が就任し、最大の目標は、失われた預り金の数億円を回収することにあると思います。

破産管財人としては、リーガルビジョンに対して「否認権」を使って、返還請求を行うことになるでしょう。

否認権というのは、簡単にいうと債務超過の状況を知りつつ、お金を受け取った場合に、返還請求ができるというものです。

今回、リーガルビジョンは流出したメールからもわかる通り、預り金が失われていたことについて認識していたと思われますので、かなりの金額(億単位)の請求をすることは明らかです。

これをリーガルビジョンがどう防ぐかがポイントになってくると思います。

(2)リーガルビジョンに対する刑事責任の追及

そして、第一東京弁護士会はリーガルビジョンに対して、弁護士法違反に基づいた刑事責任の追及を行うものと思われます。

リーガルビジョンは上場企業の傘下にあるため、コンプライアンス上は、かなりのダメージを親会社共々受けることになります。

ただし、リーガルビジョンが、弁護士と共に、預り金に関する業務上横領の共同正犯と言い切れるかは微妙です。

なぜなら、預り金を流用することに関して、リーガルビジョンが指示をしていた等の事情が必要だからです。

そこまでの共謀行為を認定できるかと言われると私も自信がありません。

(3)まとめ

今回の東京ミネルヴァ法律事務所事件は、民事上の問題、刑事上の問題と論点が山積しており、法律家からするときになる問題であると考えています。

今後の展開もさらに見守っていきたいです。

またミネルヴァ問題で困ってらっしゃる方がいましたら、私までご連絡ください。力になれると思います。

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